川崎市地域包括ケア推進室を訪問しました
川崎市地域包括ケア推進室を訪問しました
2023.09.01
はじめに 〜訪問目的について〜
川崎市立看護大学のボランティアサークル「川崎リンクス🔗」のW.Aです。川崎つながろ会の「地域を知ろう!学生記者が聞いてきました」企画の一環で、学生3人で川崎市健康福祉局地域包括ケア推進室を訪問し、同室の川上賢太さんと永野知里さんにお話を伺ってきました。
仕事内容 〜全市民が対象の川崎市の地域包括ケアシステム〜
(学生記者) 地域包括ケア推進室は、どんなお仕事をなさっていますか?
(川上さん) 川崎市健康福祉局地域包括ケア推進室では、誰もが希望する場所で生活を送ることで、「QOLの向上を図る」ために、医療と介護が連携をしたケアを提供できるよう、取り組んでいます。国の地域包括ケアシステムでは、高齢者が対象となっているのに対し、川崎市では、難病の方を含めた全市民が対象となっており、医療と介護においても、高齢者だけでなく、難病の方も対象に取り組んでいます。
また、難病の方の相談機関である、「かながわ難病相談・支援センター」を神奈川県、3指定都市(川崎・横浜・相模原)とで共同運営をしています。
さらに年に2回、難病の研修も実施しています。1回目は、川崎市内の関係者向けに基礎的な知識を研修し、2回目は、実際に川崎市内の事例を紹介しながら、難病の方に対する支援展開について伝えるといった研修を行っています。
仕事をする上で工夫している点 〜過去の経験を活かして〜
(学生記者)仕事をする上で工夫している点はありますか?
(永野さん)私たちは、区役所でソーシャルワーカーや保健師として働いていた者が多く、その際に患者さんと直接的な関わりを多く経験してきた者が多いのが特徴の一つです。そのため、過去のソーシャルワーカーや保健師としての直接的な経験を元に、ニーズを把握しており、神経難病患者の方を含め当時の経験などをもとに政策を立案しています。
(川上さん)地域連携が重要となる職業でもあるため、様々な機関での連携をどのように推進していくかも考えます。
地域連携で意識していること 〜円滑な連携を図るために〜
(学生記者)地域連携について意識していることを教えてください。
(川上さん)直接的に支援やサービスを提供する訪問看護や介護士、ケアマネジャー間が円滑な連携を図ることができるよう取り組んでいます。そのために大事にしていることは、患者さんご本人を中心として、その方向性を忘れないことです。
また、相手の役割やこちらに求められていることを理解し、どのような働きかけが必要なのかを意識して取り組んでいます。関係者間での話し合いにおいて、方向性がずれてしまわないように、患者さんが望むこと及び暮らしをサポートするということが連携では大事だと考えます。
(永野さん)うまく連携して行くためにも自分達の役割のプラスアルファを考え、自分と相手の役割間に生まれる“空白”をどうしていくべきかなどを意識して考えるようにしています。
その他 〜学生記者が気になったこと聞いてみました〜
- 神経難病初期の方に対する支援についての役割
(川上さん)市役所では直接的な相談は行っておらず、各区役所で対応します。総合的な窓口としては、かながわ難病相談・支援センターが行い、手続きや相談は各項目、又は目的ごとに別れて区役所が担っています。ただ、過去のソーシャルワーカー等としての経験から、どのように政策を考えていくかなど間接的な関わりがあると思います。
- 今後目指す社会とは
(永野さん)医療技術の進歩に伴い、助かる命が増えている反面、その助かった命で今後どのように地域で生活していくのかといった課題が多いことが現状です。障害や難病を抱えていても、その人らしい生活を送ることができる社会にしていくために、生活のサポートという面を充実させていきたいと考えています。
(川上さん)難病に限らず、1人ひとりが自分の人生を主体的に生きていくのがいいですよね。自分で考え、判断や選択することは当たり前なこととされていますが、それが病気や社会的な状況により難しい人もいます。だからこそ、1人ひとりが自分の人生を生きていける社会にしていきたいですね。
最後に
(学生記者)最後に読者に向けて一言お願いします。
(永野さん)困った時は、川崎市のホームページにて、難病を抱える方を対象とした事業の案内などが掲載されているため、ぜひ活用してほしいです。
https://www.city.kawasaki.jp/350/cmsfiles/contents/0000143/143119/050801nanbyouannai.pdf
☆上のリンクから川崎市の難病支援に関する事業を閲覧することができます
事業所紹介
事業所名:川崎市健康福祉局地域包括ケア推進室
URL:https://www.city.kawasaki.jp/350/soshiki/8-13-0-0-0.html
感想 〜取材して感じたこと〜
・市役所のイメージとして、対象者との直接的な関わりをしていると想像していましたが、政令都市である川崎市では、人口の多さから区役所や事業所間の連携をはかり、政策を考えるなど川崎市を総括した役割を担っているという発見がありました。また、地域包括ケア推進室では区役所や保健所での実務経験のある方が働いており、専門性のある職に就いていた人たちが集まっているからこそ、多方面からの視点で問題を捉えていくことができるのだと学びました。この人と人との“繋がり”というのは、今回のような働く現場だけでなく日常的にも大事なことだと思います。この繋がりには助け合い、支え合いなど様々な形があってこそ望む生活が実現できるのだと痛感し、今後も忘れないでいたいと思いました。(K.N)
・職員として働いている方々は元は実際の現場で携わっていた方が多く、現場の状況を知っているからこそより良い環境を目指すことができるのだと感じました。また、支援を必要とする方々と直接関わることはないとしても、地域連携を重視し意識的に活動することでスムーズな支援を行えると学びました。更に、これからの社会では、治療を受けた後のサポート面で課題が多く残ることを知り、将来医療職に就く身として何か出来ることは無いか考えていきたいと思います。また、私を含め世の中の誰もが今のように暮らせなくなる可能性があることを認識し、人と人との繋がりを大切にしながら広い視野を持って情報を集めることの重要性を再認識できました。(B.R)
・川崎市の地域包括ケアシステムの対象が難病患者も含めた全市民であるということを知り、それに伴い、川崎市では難病に関する様々な制度や事業も展開されていることがわかりました。対象者が希望する場所で生活を営むことは、年齢や障害などに関係なく、人々が持っている一種の権利であると思うので、それらを支援している職の一つである、地域包括ケア推進室はとても重要な役割を担っていることが理解できました。既にある制度や事業を最大限に活用することで、それぞれが望む生活を送ることができると思うので、ぜひこの記事を当事者の方だけでなく、そのご家族や、地域で活躍する医療職者の方々にも見ていただき、広めていただき、活用していただけたらいいなと感じました。(W.A)
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