「まじめか」と定例会ご報告
皆さんこんにちは!
川崎つながろ会の杉田どぇす。
9月定例会の報告とイベントのお知らせです。
今回定例会は初めて利用する「福祉パルみやまえ」という田園都市線の宮崎台駅から徒歩約5分のところと、
オンラインのハイブリッド開催となりました。
9月18日(日)13時30分~16時
当事者:7名(多系統萎縮症1、ALS6)、当事者家族:5名、支援者:6名(うち2名看護師)
スペシャルゲスト:たっくんとご両親
ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。
近況報告
当事者Gさん(気切、胃ろう共になし・発症1年未満):「ALSカフェ(ALS Café)」という患者会があり、それに参加した。
ALS Caféについて
「東邦大学医療センター大森病院 脳神経内科に設置されているALSクリニックでは『患者さんが安心して療養できる』ことを目的として、ALSをはじめとした神経変性疾患の患者さん、ご家族(ご遺族)、介護者、医療関係者を対象とした交流会“ALS Café”を毎年開催しております。
この交流会では、
・ALSクリニックの医師(脳神経内科、リハビリテーション科、胃瘻造設施行医)、看護師、呼吸ケアチーム、リハビリテーション療法士、栄養士、ソーシャルワーカーなどの多職種の専門スタッフが皆様の疑問にお答えします。
・患者さんや介護者同士で悩みをお話しして、介護の情報やアイディアを出し合い、皆様の日常生活に役立てるような機会を提供していきます。」
今回参加した内容については、
・栄養に関する講演ではALSでは体重を落とさない様にするべし。
・井上先生による呼吸器の講演あり。
・滋賀医大、漆谷先生によると、ALSの原因タンパク質(TDP-43)が分かり、モデルでは治療の効果が得られている。
・SOD1に対し治験で効果が見られている。来年度には承認されるのではないか。
・武知先生の呼吸の話では楽に呼吸し呼吸筋を長持ちさせる事、リハビリが大事。
・排便、睡眠障害に悩む人が多い。
といった話が聞けて「ALSはもはや原因不明で謎ばかりの病ではない」と希望を感じられた。
ご相談・ご質問
Q.近頃便秘で困っている。何か工夫していることがあれば教えてください。
A.
・飲む水の量を増やす
・水分摂取量を増やすと頻尿になってしまうので薬で調整
・発酵食品による腸内環境改善
Q.同じ姿勢でいると腰、お尻が痛くなる。医師にエアマットはどうかと尋ねてみたがまだ早いと言われた。
A.
・いやいや、ベッド上であればまずはエアマットの導入を検討すべきです。レンタルで複数メーカーのものを試すことができる。
・もしシーツにストレッチ素材のものを使っていたらエアマットを使っていても痛み~褥瘡の原因になりうる。
これはストレッチ素材のシーツをシワなくキレイに敷くことで、ストレッチ素材なので常に縮もうとする状態になり
身体に対する反発が強くなる。要するに固くなるということ。
そういう寝床の状態で同じ姿勢が続くと肉の薄い腰に痛みが現れ、やがて褥瘡となる。
下半身だけに敷く防水シートでもストレッチ素材なら同様のことが起こり得ます(経験者談)。
Q.このつながろ会に車椅子で参加されている方がいますが、お尻は痛くないのですか。
A.実は…痛いんですw
・卵の上に座っても割れないというジェルマットを滑り止め兼ねて敷いている。
・ストレッチをして筋肉を柔らかくしておく。
Q.最近倦怠感を感じることがある。皆さんはどうでしたか。
A.発症後1年くらい経ったころに倦怠感を感じることがあった。
Q.胃ろうから注入するときに使うシリンジが早ければ2回程度で堅くなってしまう。皆さんはどのような対策をしていますか。
A.
・洗剤を使わず水洗いしてミルトンで消毒。
・水洗いしてオリーブオイルで潤滑。
・シリンジは訪問医から支給される。一度に多数欲しいと実費となる。
Q.HALを使ったリハビリをやりたい。
A.
・今回ご参加いただいたALS当事者のSさんはHALを使ったリハビリを
2018年から現在まで「済生会神奈川県病院」で月に二回継続中とのこと。
その経緯を伺いました。
2018年5月、HALの治験を実施していた「新潟病院」に問い合わせたところ、治験は終了しており
「済生会神奈川県病院」を紹介していただいた。
同年7月、神経内科を受診し、HAL通院リハビリを受けるためにまず3週間の入院が必要ということで日程の予約。その後2週間に短縮。
退院後は2週間に1回の通院リハビリ(1回45分)を現在まで受けている。
HALを装着した歩行訓練動画はこちら
コロナを機に、リハビリの場所はリハビリ室から廊下にかわり、25メートルを最近は3往復(150メートル)歩行。
ちなみに初診当時の身体の状態は杖を使った自立歩行か電動車椅子(WHILL)で都内まで毎日通勤。
家の中では杖なし歩行で自分の食器を片付けたり、冷蔵庫におかわりのビールを取りに行ったりしていた。
現在は日中車椅子で過ごす。
HALを使ったリハビリはALSなどいくつかの疾病に医療保険が適用されます。
・同じく済生会神奈川県病院でやったことがある。脚に対して効果があると思うが吊る事により肩がいたくなってやめた。
・済生会神奈川県病院には高身長用がないのと、レスパイトを兼ねて新潟の病院に行っていたが最近は行っていない。
Q.LICトレーナーを使ったリハビリを行っていますか。医師に導入の相談をしたところ「カフアシスト」と同じなので必要ないと言われた。
A.
・髙野会長とわたくし杉田は平日毎日やってます。
・カフアシストとLICトレーナーは異なります。LICトレーナーは、本体の一次側(IN)に蘇生バック(別売)を、
二次側(OUT)にマスク(別売)を装着し、呼気ラインを患者さんまたは補助者さんが手指で押え蘇生バックで加圧します。
加圧する際、本体内に内蔵されている一方向弁により息止めができない患者さんに対しても陽圧を保つことができます。
患者さんが耐えうる最大圧まで加圧したのち患者さんまたは補助者さんが呼気ラインを開放することで、
患者さんの肺胞を膨縮させ、肺及び胸郭の柔軟性を維持・改善します。
・LICトレーナー導入の際は自分で購入し、聖マリの呼吸リハの先生に頼んだ。
私の場合、LICを始めてから血中酸素飽和度が2パーセント改善して98%位を4年ほど維持している。
LICトレーナーのリハビリ動画はこちら
自発呼吸も維持できていて少なくとも1時間以上、人工呼吸器から離脱していられます。
個人的にはこの離脱ができるということが生活の質を維持できている重要な要素だと思っています。
介助者の負担が軽減できていることも多々あり、それはすなわち、私の負担軽減につながっているということ。
呼吸リハがとても重要で早くからやるべきと何度も言うのはこのためです。
導入にあたっては業者を呼んで先生に説明してもらってはどうでしょうか。
・深く息を吸って止める事でも効果があります。
・誤嚥による肺の損傷があるか、LICトレーナの使用に制限があるかは医者に相談してください。
・LICトレーナーのお問い合わせ先
販売会社:株式会社 星医療酸器 営業本部
担当部署:呼吸器領域リレーション推進プロジェクト
担当:加藤 正行
お問い合わせ:03-3899-6511 (平日9:00~18:00)
メールアドレス:katoh.masayuki@hosi.co.jp
注:リハビリや療養生活に関することは必ず医師や看護師などの医療者や、
作業療法士、理学療法士、言語聴覚士などの専門職の方と相談しながら進めてください。
お知らせ
10月10日(月・祝)に鎌倉散策を行います。
詳細は決まり次第Facebookなどで告知いたします。
月例会の報告は以上です。
来月以降も当事者の方、ご家族の方、福祉・医療に携わる専門職の方、福祉に興味がおありの方、
杉田のひとりごとに興味がある方などなど、お気軽にご参加くださいね~!
※ご意見、ご相談等はずーっと下にあるコメント欄で受け付けておりますよ。お気軽にどうぞ。
教育って大事
私がALSに関して広く社会に何かを訴えるとしたら、その動機って何だろうと考える。
まずは「こんな病があることを知ってほしいから」かな。希少難病と言われ、とても珍しい病気だから。
じゃ、なんのために知ってほしいかというと、「この病に対する理解を広めるため」となる。
どんな症状で進行するとどうなるのか、生活に対する影響、制度や公的な支援の問題とか。
じゃ、なぜ理解を広めたいのかというと、「この病の患者と家族の療養環境の改善、生活の質の向上に繋げたいから」となる。
じゃ、療養環境の改善、生活の質の向上を実現するためにはどこにアプローチすればいいのか。
まずは行政。
法律や条令について意見を述べたり提案をすることで改善に向けた働きがけを行う。
新しい決まり事を命にかかわる現場に落とし込むには法的な裏付けは必須だ。
そして医療、福祉関係。
直接かかわる人たちの理解は不可欠で、理解が深まれば相互にメリットがある。
現状、ここへのアプローチがほとんどではないだろうか。
以上の二つのアプローチは全国のあちこちで見られ、実を結んでいるものも多い。
私が「生きる」と決断できたのも、先人によるこういった地道な努力によって
生きるための環境整備が進んだことによるものが大きい。
一方、長年の活動でも私たちのようなマイノリティを広く社会が理解し受け入れ、
意識や仕組みを変えるところには至っていない。
私達のような人間はなかなか外出も難しく、人目につくことが極めて少ない。
ただでさえ少ないのに外に出て人目につかなければ社会的には存在していないのも同じだ。
これでは社会の意識を変えるなど到底無理だ。
…と、いう文章を4年ほど前に書いたんです。
硬っ! ひとりごと硬っ!
まじめか。
…で、話を戻すと、、
この4年前に書いた文章、最後こうなって終わってます。
そこで!外出大好き患者のお出ましだ。
そしてアプローチ先はもっと将来を見据えたところ…そう学校です。
小中学校にアプローチします。
…この続きは実際の行動と成果を書く予定でしたが、終わったままということはそういうことなんです。
私の作戦は、まず近所の小中学校の周辺を、下校時間に合わせてウロウロと散歩をして
「なんか最近サイボーグみたいな車椅子のおっさんおるよなぁ」と、まずは不審人物として注目されます。
そしてその後、興味を持った子たちとやり取りが始まり、夏休みの課題なんかに私が登場したりして、
そのうち先生の目にも留まったりしてだんだん学校の中枢に潜入していく…
そういう壮大なシナリオを思い描いてましたが、んなドラマみたいにはいきませんわ。
でウロウロしてる間にコロナが来て…文章が終わったまんまなわけです。
そもそもなぜ学校なのか。
それはALSになる前にさかのぼります。
最寄り駅の改札から少し離れたところで白杖を持ったおばあさんが座り込んでいました。
何か困っているよう見えたので足を止めてちょっと見ていると、やはり明らかに困っている様子。
でもみんなその前をスタスタと通り過ぎていくので思い切って声をかけてみました。
聞くと改札に行きたいとのこと。ではお手伝いしますよ、ということで立ち上がったところで
進む方向を伝える意味を込めて右肩の後ろを少し押しました。すると、
ものすごい剣幕で怒られてしまいました。
あとでわかったことですが、いきなり体を押したり腕を掴んだりはNGだそうで。
その日は悶々としてました。障害がある人のお手伝いをしようという気持ちがあっても
セオリーを知っておかないと逆に不快な思いをさせることになる…気持ちだけじゃどうにもならないよな…
じゃあスタスタ通り過ぎるのが正解か?ンなわけないよな…
てかこういうこと、学校で教えとかなアカンのちゃうの?
そんな体験があって教育って大事という考えに至ったわけです。
そしてこの度、前述の作戦が実を結ぶ…わけなくて、髙野会長からのお誘いがあり棚ボタ的に実現しそうです!
詳細は言えませんが、ある中学校で「インクルーシブ教育」に参加します。
コロナというバリアによって世界中の人が障害者になったこの時代。
私たちと接することで学生たちにどんな変化が起こるのか、今からとても楽しみです。
ではでは、今回はこの辺で。
ばいばい。
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