「指定訪問看護 アットリハ新城」にお話を伺ってまいりました

こんにちは!

川崎市立看護大学のボランティアサークル「川崎リンクス」のKです!

 

今回は川崎つながろ会の「地域を知ろう!学生記者が聞いてきました」企画の一環で、「指定訪問看護 アットリハ新城」に学生が2名で訪問し、訪問看護師の渡邊様にお話を伺ってまいりました。

 

〜アットリハについて〜

【学生記者H】

アットリハさんのお仕事内容を教えてください。

 

【渡邊様】

看護師やリハビリスタッフがご自宅に訪問して診療の補助や療養上の世話、リハビリテーション等を行っています。看護師は主に、状態観察や与薬の管理、清潔保持のケア(清拭、陰部洗浄、洗髪など)を行います。圧倒的に多いのは排便コントロールですかね。医師からの指示がある場合は褥瘡の処置を行なったり、必要時は点滴等の処置も行います。看護師は1日4〜5件はご家庭を訪問しています。

 

【学生記者K】

アットリハさんの建物の前には自転車が多く置かれていますが、訪問の際は自転車を使用することが多いのですか?

 

【渡邊様】

自転車は半数で、バイクを使用する人も多いですね。リハビリスタッフはバイクをよく使っていますね。看護師は車を使用する人もいますね。

 

【学生記者H】

なるほど、そうなんですね。こちらにはどのくらいの看護師さんがいらっしゃるのですか?

 

【渡邊様】

ここには看護師が25名で、リハビリスタッフはその倍の50名居ますね。

 

【学生記者H・K】

凄く多いですね!

 

【渡邊様】

そうですね、アットリハという名前だけあって(笑)

社長が理学療法士なんですね。なのでリハビリのスタッフにも手厚くサポートさせていただいて、ここに集まっているという感じですね。あとは事務さんも10名くらい居るので、ここは巨大ステーションですね。

 

〜渡邊様について(現在は退職)〜

【学生記者H】

お話が少し変わります。なぜ訪問看護師になろうと思ったのでしょうか。お話しできる範囲で、訪問看護師になった経緯や理由を教えていただきたいです。

 

【渡邊様】

アットリハは夜間のコール対応を行わなくて良いという利点があります。“緊急チーム”というチームが別にあり、休日や緊急時などはそちらのチームが主となって対応してくださいます。(アットリハも連携して対応を行います。)それによって、夜勤の仕事がなく土日祝日のお休みが確保されるので、小さい子どもがいるときはそれが凄くありがたかったです。

アットリハは看護師の業務として少し特殊な形態で、他のステーションだと常勤の方は月に何日か夜間のコール番を行なったり、病状が急変した利用者さんがいれば土日を含めた訪問を行うことがあるのかなと思いますが、ここ(アットリハ)はそういった対応がないことが魅力的で、ここでなら続けられそうだなという思いで、この場所を選びましたね。

 

【学生記者H】

アットリハさんのHPを拝見させていただいて、『慣れ親しんだ自宅で過ごすために全力でサポートする』と書かれていたのですが、訪問看護をする上で気をつけていることや工夫されていることはありますか?

 

【渡邊様】

そうですね、気をつけていること…。やっぱり、病院と違って(利用者さんの)お家に入るので「お邪魔します」という感じなんですね。利用者さんが主体となるので利用者さんの希望、ご家族の意向に沿ってケアや治療をしていくことが第一ですね。なので、(利用者さん)ご本人とご家族の意向を汲み取るようにしています。

あとは、限られた時間、限られた日にしかお伺いできないので、次に訪問するまでに何が起こり得るか予想して指導することを気をつけていますね。もちろん、「急なことが起きた時には連絡してね」と声掛けもします。ご家族が協力的な方であればご家族にも指導しています。独居の方も多いので、そういった場合はケアマネージャーさんを通して、ヘルパーさんなど生活に関わる人たちに情報共有をしていますね。

 

〜利用者や地域との関わりについて〜

【学生記者K】

この地域は高齢者の方が多い印象がありますが、利用者の方も高齢者が多いのですか?

 

【渡邊様】

圧倒的に高齢者が多いですね。現在アットリハでは900名の利用者さんが居て、難病の方はそのうちの2割くらいですね。あとは介護保険の方で、血管障害で麻痺が生じた方、骨折後で動けなくなってしまった人などが6割近くを占めています。あとは精神疾患を持っている方や癌末期の方も増えています。特殊な例ではありますが、小児も小児科病棟経験者の看護師が担当するなどしてやっています。お母さん看護師も多いので、育児の相談にも乗っていたりしますね。

 

【学生記者H】

地域連携で意識していることはありますか。

 

【渡邊様】

コロナ前は勉強会など地域での集まりが多くて、そこに医師や薬剤師なども集まって多職種で様々なテーマについて話し合いができていました。コロナ流行後はzoomなどで集まったりしていたのですが、最近では病院でも退院前カンファレンスが再開され始めていて、また集まる機会が戻ってきています。顔が見えていると色々な話がしやすかったり、情報共有しやすい部分があるので、担当者会議などこういった場には積極的に参加するようにしています。

 

【学生記者K】

勉強会というのは1人の利用者さんについてアセスメントしていくこととは違いますか?

 

【渡邊様】

そうですね、アセスメントとはまた違いますね。例えば『ALSについて』というような勉強会を医師が開催してくれて、疾患について理解する、ケアについて考える他、福祉用具の提案などを行う症例検討の会もあります。

 

【学生記者K】

人工呼吸器をつけている利用者さんと、そうでない利用者さんでは、留意する点は異なりますか。

 

【渡邊様】

違いますね。やっぱり何度か見学させて頂いて、しっかりと引き継ぎをした上で訪問したい方たちではありますね。だから逆に、担当と利用者さんはすごく関係性を作ることができるかなぁと思います。

 

【学生記者K】

一番最初に利用者さんのご自宅を訪問する際に、気をつけることはありますか?

 

【渡邊様】

そうですね、歩く導線やトイレまでの導線がどうなのかなど、初回はお家の環境を確認しますね。

やっぱり病院と全然違ってくるので、注意してみるようにしています。あとはマンパワー。例えばどれだけ家族に介護力があるのか、みたいなところは確認するようにしています。

 

【学生K】

例えば床がフローリングだったり、スリッパを履いていると転びやすいということは、難病の方に限らず高齢者の方なら誰でも起こりうると思うのですが、そういうところもアドバイスされたりするんですか?

 

【渡邊様】

そうですね、それはしますね。フローリングだったら滑り止めがついた靴下を履くとか。あとは結構在宅酸素をつけて帰ってくる方も多くて、そういうときは在宅酸素のルートを引っ張りながら歩くので、転倒リスクが高くて。そういう人には、「こういう導線で気をつけて歩いて帰ってきてくださいね」みたいな伝え方をします。

 

【学生K】

なるほど。たしかに完治していない状態でお家に戻る人が多いというのは、自分が実習に行っていてもよく感じます。

 

【渡邊様】

そうですよね(笑)「この状態で帰ってくるの?」と思うこともあるんですけど、そこは訪問でしっかりやらなきゃいけないというのはありますね。だから今は、「一つのステーションあたりの訪問看護師の数を増やして巨大ステーションをたくさん作りましょう」というのが国の動きなんですけどね。他のステーションも試行錯誤しながらやっています。これからは高齢者が増えていくので、在宅の看護師が増えて欲しいなと思いますね。

 

〜訪問看護師について〜

【学生記者K】

先ほど子育て世代の看護師が多く在籍していると仰っていたと思うのですが、訪問看護師として働く上で何か適正などありますか?

 

【渡邊様】

「人が好き」という看護師さんは、関係づくりをする上ですごくいい関係が築けるんじゃないかなと思うので、向いてるかもしれないですね。やっぱり病院だと、急性期でバイバイすると関係が切れてしまうので、その後どうなったのかな、というのがわからなくなってしまうので。そう意味では、生活に寄り添いながら週一回の看護を続けて、最後は家で看取る、みたいなことができたら、一番ベストかなと思いますね。

 

【学生記者K】

新卒で最初に訪問看護師をやりたい場合、病院での基礎がないと思うのですが、そういう子はうまく活躍できるものなんでしょうか?

 

【渡邊様】

そうですね。今まだアットリハは新卒の方への教育システムを整えられてないんですけれども、川崎市から「新卒さんをどんどん受け入れましょう」ということが訪問看護ステーション宛に通達があって。新卒の教育カリキュラムに関する勉強会をやったりという動きもあるので、新卒の方受け入れますよ!というステーションもすごく増えています。そういったところを選べば、新卒でも同行訪問したりとか、医療処置を確認したりということもできるんじゃないかな、と思いますね。

 

【学生記者K】

訪問看護は1人で利用者さんのお宅に伺うので、新人だととてつもなく不安だと思うんですけれども、先輩ナースがいて教育システムが整えば楽しくできそうですね。

 

【渡邊様】

そうですね。最初は同行訪問を重ねて、やり方を教え込んで、もし何か困っても事務所に電話をすればそこにいる看護師と相談してフォローができるので。何か不安があったらいつでも連絡してくださいというのは伝えるようにしています。

 

【学生記者H】

最後に、この記事を読む方に向けて一言頂けますか?

 

【渡邊様】

なるべく自分の馴染みのある地域で過ごしたいという人の希望を叶えていけるように、増えていく利用者さんに対応していけるだけの力を持っていければいいなと思います。「今手いっぱいなのでごめんなさい」というのはなるべく作りたくないと思っています。

 

【学生記者H、K】

質問は以上となります。ありがとうございました!

 

◎事業者紹介

〈指定訪問看護 アットリハ新城〉

URL: https://reha.at-care.co.jp/lp/shinjo/

〒213-0014 神奈川県川崎市高津区新作6丁目8−33

 

 

◎学生記者の感想

学生記者K

渡邊様にインタビューさせて頂いて、アットリハでは子育てと両立しやすい環境が整っていること、地域・多職種との繋がりを大切にしながら、利用者様お一人お一人と向き合っている姿勢を学ぶことができました。

 

学生記者H

一口に訪問看護師といっても、これまで経験してきた科や年数がそれぞれ異なる点や、多様な疾患を持つ利用者さんに対応するという点で、他職種で勉強会や症例検討をする必要性がよく理解できました。また新卒を受け入れる体制が徐々に整いつつあるというお話も、看護学生として興味深かったです。

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